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バリとは|客先クレームを生まないために知っておきたい発生原因・種類・確認ポイント

バリは加工現場でほぼ必ず発生する一方、客先クレームや組立不良の原因になります。バリの種類・発生原因・現場で確認すべき判断ポイント・図面指示の考え方を、海外の研究知見も踏まえて、設計者・品質管理担当者・若手技術者向けに整理します。

公開:2026-05-20 更新:2026-06-10

この記事の読みかた

想定される利用シーン

次のような場面で役立つように整理しています。

  • 図面上で「バリなきこと」と書きたいが、本当にそれで伝わるか不安な設計者
  • 客先からのバリ残りクレーム原因を整理したい品質管理担当者
  • 後工程のバリ取り負荷を上流で減らしたい生産技術担当者
  • バリの基本を理解したい若手技術者・新人エンジニア

この記事で分かること

  • バリの代表的な4種類と、それぞれが発生しやすい加工条件
  • バリ残りトラブルを設計・加工・検査・外注のどこから切り分けるか
  • 図面に「バリなきこと」と書く前に確認したい3つの観点
  • 海外研究が示すバリのコスト構造と「除去より予防・制御」の考え方

バリとは何か

バリ(英:burr)とは、金属加工において、切削、打抜き、鋳造、成形などの加工過程で、部品のエッジ部分や穴の縁に発生する、設計上意図されていない突起状の残留物のことを指します。加工後の部品表面から不規則に突き出した、薄く鋭利な突起や、微細な金属片として現れることが多い、後工程・品質管理上の重要要素です。

国際的には、図面上のエッジ指示方法を定めた規格 ISO 13715 が、面から突き出たオーバーハングがゼロを超えるエッジを「バリのあるエッジ」と定義しています。つまり規格の世界では、どれほど微細でも突起があればバリとして扱われ、許容するかどうかは図面指示(エッジ寸法の指定)で決める、という整理です。「バリなきこと」という日本語の包括的な表記と比べると、エッジごとに許す・許さないを使い分ける発想であることが分かります。

バリは、加工方法、材料、工具、加工条件、加工形状などの組み合わせによって、ある程度必ず発生します。完全にゼロにすることは現実的に難しく、多くの製造現場では「許容できる範囲に抑える」あるいは「後工程で除去する」という運用がとられています。後工程としてバリを除去する作業は「バリ取り(英:deburring)」と呼ばれ、本サイトの中核テーマの一つです。

バリの代表的な4種類

バリは、発生メカニズムや形状によって複数の種類に分類されます。本記事で紹介するロールオーバーバリ、ポアソンバリ、ティアバリ、カットオフバリの4分類は、米国の研究者 LaRoux Gillespie が1976年に整理した分類が原典とされ、その後の国際的な研究レビュー(CIRP Annals 2009)でも形成メカニズム別の基本分類として踏襲されています。なお、分類方法は文献や加工方法によって他にも複数あり、ドイツの産業調査では回答企業の約45%が自社独自の分類を使っているという報告もあります。社外とバリの話をする際に「同じ言葉が同じ形状を指しているか」の確認が必要な理由は、ここにあります。

4種類の形状イメージを図1に示します。

バリの代表的な4種類の断面模式図。ロールオーバーバリはエッジを巻き込むカーブ、ポアソンバリはエッジから直角方向に張り出すひれ状、ティアバリは鋭利と鈍さが混在する不均一な引きちぎり形状、カットオフバリは切り離し終端に残る突起として描いている

図1:バリの代表的な4種類の断面模式図(形状はメカニズムの違いを示すための誇張表現)

各種類の特徴を、下表(表1)で比較します。

表1:バリの代表的な4種類の比較

種類発生メカニズム形状の特徴補足
ロールオーバーバリ切削工具が材料を抜ける瞬間に、材料端部が下方向に折れ曲がるように引きずられるエッジから外側に巻き込むようなカーブ切削の終端で発生するため出口バリ(exit burr)とも呼ばれる
ポアソンバリ切削・打抜き時の圧縮応力で材料が側面方向へ押し出されるエッジから直角方向に張り出す「ひれ」状塑性流動の結果として形成される
ティアバリ材料が綺麗に切断されず、引きちぎられるように分離する不均一で、鋭利な部分と鈍い部分が混在安全リスクの観点から特に注意される
カットオフバリ突切り・シャー切断などで、最後まで切り切れずに残った材料が残留加工終端に残る引きちぎられた突起切り離し加工に特有

それぞれの特徴を概説します。

ロールオーバーバリ は、切削工具が材料を抜ける瞬間に、材料の端部が下方向に折れ曲がるように引きずられて形成されます。せん断されずに曲げられた切りくずがエッジに残る形態で、エッジから外側に巻き込むようなカーブを描くのが特徴です。切削の終わり(工具がワークから抜ける箇所)で発生するため、海外文献では出口バリ(exit burr)とも呼ばれます。

ポアソンバリ は、切削や打抜きの際に、工具からの圧縮応力によって材料が側面方向へ押し出される形で発生します。エッジから直角方向に張り出す「ひれ」のような形状を持つことが多く、塑性流動の結果として形成されます。

ティアバリ は、材料が綺麗に切断されず、引きちぎられるように分離する際に残る不規則な突起です。形状は不均一で、鋭利な部分と鈍い部分が混在しやすく、安全リスクの観点から特に注意されます。

カットオフバリ は、切り離し加工(突切り、シャー切断など)で、加工終端に残る突起です。最後まで切り切れずに残った材料部分が、引きちぎられた形で残ることが多いタイプです。

バリが発生する主な要因

バリの発生は、特定の単一要因では説明できず、複数の要因が組み合わさって生じることが多いとされます。海外の研究では2つの一般則が整理されています。第一に、バリは工具が材料に入る箇所と抜ける箇所で形成されるため、加工の入口・出口に注目すると発生位置を予測しやすいこと。第二に、材料の延性が高いほどバリは大きく・多くなる傾向があることです(CIRP Annals 2009)。この前提のうえで、代表的な要因をいくつかの軸で整理します。

工具側の要因 としては、工具の摩耗、工具形状の選定、工具と材料の組み合わせの適合性などが挙げられます。摩耗した工具は切れ味が落ち、材料が切断されずに変形する割合が増えるため、バリの発生量も増加しやすい傾向があります。穴あけ加工の研究では、鋭利なドリルの出口バリはポアソン型にとどまるのに対し、摩耗したドリルでは未切削の材料が巻き込まれて大きなロールオーバーバリになる、という観察が報告されています。

加工条件側の要因 としては、送り速度、回転数、切込み量、クーラントの供給量・温度などがあります。これらは材料への熱・力の入り方を左右し、バリの形状と量に影響します。ただし海外研究では、送り・速度・工具形状の単独調整ではバリの発生自体は防げず、できるのは最小化である、という整理が示されています(Gillespie)。条件調整は有効な手段ですが、それだけで「バリゼロ」を期待しない方が現実的です。

材料側の要因 としては、延性、硬さ、加工硬化特性、組成などが挙げられます。延性の高い材料(一般に軟鋼、純アルミなど)は塑性変形しやすく、ロールオーバー型のバリが大きくなる傾向があるとされます。脆性のある材料はティアバリやカットオフバリが目立ちやすい傾向があります。

形状側の要因 としては、加工面のエッジ角度、薄肉部・交差穴の存在、加工面の連続性などがあります。特に交差穴のような複雑な形状部位では、バリが除去しにくい位置に発生しやすく、後工程の難度を大きく上げる原因になります。穴あけ研究では、工具が抜ける面の角度がバリの大きさを左右し、薄肉部ほどバリが大きくなりやすいことが示されています。

加工順序の要因 としては、複数工程の組み合わせや、最後に通る工程の特性によってもバリの傾向が変わります。これは設計と工程設計の双方で配慮が必要な領域です。

バリを放置するリスク

バリは単なる外観上の問題ではなく、製品の機能・組立・安全・コストに直結します。

組立工程での影響 としては、相手部品との干渉、挿入不良、組立後の隙間不良、固定不良などが想定されます。特に精密機器、医療機器、自動車部品、航空部品などでは、わずかなバリが寸法管理の前提を崩す場合があります。

機能上の影響 としては、流体機器における流路閉塞、シール部分での密着不良、摺動部での摩耗・抵抗増加、電気的接続不良などが挙げられます。

安全上の影響 としては、作業者の怪我(手指の切創)、最終使用者の怪我、出荷品からの脱落による下流工程での問題などが想定されます。

表面処理工程への影響 としては、めっき、塗装、コーティングなどの工程前に残ったバリが、密着不良、剥離、不均一仕上がりの原因となることがあります。

クレーム・損失コスト としては、上記が顕在化した場合の手直し、返品、信用低下が発生し得ます。海外の産業調査では、バリ取り工程そのものが製造コストの数%から十数%を占めると報告されており(具体的な数値は後述の海外セクションで紹介します)、バリは「品質の問題」であると同時に「コスト構造の問題」でもあります。多くの現場では、バリ取り工程に投入するコストよりも、クレーム発生時の対応コストの方がはるかに大きいと認識されています。

設計段階でのバリ低減の考え方

バリは加工後の対処だけでなく、設計段階での配慮によって発生量を抑制できる場合があります。これは英語圏では Design for Manufacturing(DFM)の一部として整理されることが多い領域で、米国 UC Berkeley の研究グループ(CODEF:バリ取り・エッジ仕上げ研究コンソーシアム)などが具体的な設計・工程指針を公開しています。

海外研究で示されている指針の例を挙げます。いずれも研究条件下の知見であり、自社製品への適用には個別検証が前提ですが、設計レビューの論点としてそのまま使えます。

  • 工具が抜ける面の角度を大きくするとバリが小さくなる傾向があり、45度の面取りや傾斜面の上で工具を抜けさせるとバリの発生を大きく減らせるという実験報告があります(Dornfeld、Gillespie)。
  • 薄肉部では工具が抜ける際の支えがなく、バリが大きくなりやすいため、穴と薄肉部の位置関係に注意が必要とされます。
  • ねじ穴を貫通する加工はバリ除去が難しいため、加工で対処するのではなく、その部位の設計自体を見直すことが推奨されています(Gillespie)。
  • 工程順序の工夫で「バリが出るとしても、重要度の低い最後のエッジに出す」という考え方が、フライス加工のツールパス設計指針として整理されています(Dornfeld)。
  • 穴あけでは、工具が抜ける直前に送り速度を落とすと抜け際の力が減り、出口バリを抑えられるという実務テクニックが紹介されています。貫通穴1つあたりの追加サイクルタイムはごく僅かとされます。

これらは「バリをゼロにする」ための施策ではなく、「バリの発生量や、除去の難度を下げる」ための工夫です。完全な解消は加工方法・材料・工程に依存するため、設計と加工側の対話が前提となります。

ここで、意図された面取りと、意図せず残ったバリは、見た目が似ていても扱いが異なる別概念であることを、表2に整理します。

表2:意図された面取りと意図せず残ったバリの違い

観点意図された面取り(C面など)意図せず残ったバリ
図面上の扱い設計図面で寸法・形状を明示する形状としては指示されない(許容基準で扱う)
形状の特徴寸法どおりに定義された規則的な形状不規則で、形状の定義はない
工程上の位置付け「作る対象」「除去する対象」
担当設計判断・加工指示後工程・品質管理

現場で誤解されやすい点

バリに関しては、現場で誤解されやすいポイントもいくつかあります。

「面取りすればバリは取れる」は不十分。面取り工程の中でバリも同時に除去されることはありますが、面取りの対象外の部位や、面取り工具が届かない位置にあるバリは残ってしまいます。両者は目的の異なる別工程として認識した方が、品質管理上明確です。詳細は関連記事「面取りとバリ取りの違い」を参照してください。

「目視で確認できれば十分」の限界。バリは微細なものを含めると目視だけでは見落としやすく、特に交差穴内部や深い穴の内側など、視認困難な位置で問題化することがあります。手触り検査や、必要に応じた拡大検査、機能検査による補完が現実的です。なおドイツの産業調査では、回答企業の7割超が(他の測定方法と併用しつつ)爪でエッジをなぞる「爪テスト」をバリ検出に使っていると報告されており、官能検査への依存は海外でも共通の実態です。だからこそ、判定基準を人によらない形で明文化することに価値があります。

「全部除去すれば良い」のコストと現実性。バリの完全除去は、コスト・工程時間・現実的な検査体制の観点から、すべての部品で目指すべきとは限りません。多くの現場では、機能・安全への影響度を踏まえて、部位ごとに許容基準を設定する運用がとられています。海外の実務家の間では、次工程で再加工される部位や、曲げ加工で内側に巻き込まれる部位のバリは除去不要と判断する、といった「残してよいバリ」の整理も紹介されています。

立場別の整理

バリの理解は、立場によって重視するポイントが異なります。

設計者 にとっては、DFM視点での形状設計、面取り指示、公差設定、後工程への配慮が中心となります。「バリが出にくい設計」「バリ取りしやすい設計」は、加工コストとクレームリスクを同時に下げる設計判断として有効です。

生産技術担当 にとっては、工程設計の中でバリの発生位置・量を予測し、後工程の標準化と工程能力の確保を行うのが主たる関心となります。

現場担当 にとっては、具体的なバリ取り手段の選定、工具・治具の選択、検査方法の運用が中心となります。

若手技術者 にとっては、バリが「品質・コスト・納期・安全」のすべてに関わる重要要素であることを理解することが入口となります。

現場で確認すべき判断ポイント

「バリが原因の品質トラブル」と一括りにせず、原因を以下の4区分に切り分けると論点が整理しやすくなります。社内会議や外注先との打ち合わせでも、この4軸で確認順序を共有すると認識ずれが減ります。

確認観点見るべきポイント関係しやすい部門
設計起因図面の「バリなきこと」表記が曖昧/部位ごとの許容基準が未定義設計・生産技術
加工起因工具摩耗・切削条件・加工順序がバリ発生量を増やしている製造・生産技術
検査起因バリの判定基準が担当者ごとにブレている/検査箇所の指定が不明確品質管理
外注管理起因外注先と許容バリ高さ・除去範囲の合意が明文化されていない購買・外注管理

「現場のミス」と一括りにせず、設計/加工/検査/外注のどこに論点があるかを切り分けたうえで、対策の優先順位を決めると、関係部門への説明や外注先との交渉もスムーズになります。

海外ではどう整理されているか

📘 このセクションについて:以下は、本記事の編集にあたって実際に参照した海外の研究論文・技術資料から、日本語ではまとまった形で読みにくい知見を紹介するものです。出典は記事末尾の「参考情報」に記載しています。

英語圏では、バリは単なる現場課題ではなく、独立した研究領域として扱われています。国際生産工学アカデミー(CIRP)は2009年に「Burrs—Analysis, control and removal」という包括レビュー論文を発表しており、バリの分類・形成メカニズム・測定技術・除去技術・産業別コスト事例が一望できます。米国では UC Berkeley に産学コンソーシアム CODEF(Consortium on Deburring and Edge Finishing)が設けられ、バリの予測・最小化研究が蓄積されてきました。工法面では、Gillespie のハンドブックがバリ取り工法を124種類に整理しており、そのうち部品寸法を変えない工法は2つしかない(=ほぼすべてのバリ取りは寸法・面性状に影響する)という指摘は、工法選定の前提として示唆的です。

バリのコストはどれくらいか:海外調査の定量データ

日本語の資料ではあまり見かけない、バリ取りコストの定量データが海外調査では報告されています。代表的な数値を表3に整理します。

表3:海外調査が報告するバリ取りコストの例

対象報告されている数値出典
ドイツ製造業の調査(自動車・工作機械産業)バリ関連費用が総製造コストの最大9%。工数・サイクルタイムの約15%増、バリ起因の不良率寄与2%・機械停止時間寄与4%CIRP 2009(SpanSauber調査)
自動車部品(量産・単純形状)製造費用の2〜3%CIRP 2009
自動車部品(複雑形状)9〜10%、事例によっては最大14%CIRP 2009(独大手サプライヤー資料)
航空宇宙の重要部品部品製造コストの9〜10%CIRP 2009
高精度部品(航空エンジン等)最大30%に達するとの推計Dornfeld 2004

これらの数値は調査時点・対象企業・原価の定義に依存するため、自社との単純比較はできません。また Gillespie は、バリ取り担当者の人件費をそのままバリ取りコストと見なす計算の誤りを指摘しています。担当者の作業時間には、表面の手直し、折れた工具の除去、部品洗浄など、バリ取り以外の作業が混在していることが多いためです。自社のバリ取りコストを見積もる際は、この切り分けが最初の論点になります。

「除去」から「予防・制御」へ:海外研究の戦略観

CIRP のレビューが明確に打ち出しているのは、バリ取り(deburring)は付加価値を生まない工程であり、可能な限り予防・最小化すべきだ、という戦略観です。そのうえで興味深いのは、近年の研究の到達点が「バリの完全回避」ではなく「バリの制御(burr control)」に置かれている点です。つまり、十分に小さく・再現性のある形にバリを制御できれば、そのまま許容するか、標準化・自動化された手順で安全に除去できる、という考え方です。

この戦略階層を図2に整理します。

バリ対策の3段階を上から順に示した階層図。第1段階は設計・工程設計でバリを発生させない予防、第2段階は加工条件・工具でバリを小さく再現性のある形に制御する最小化、第3段階は標準化・自動化された手順で安全に除去する管理された除去。上流ほどコスト効果が大きいことを左側の矢印で示している

図2:バリ対策の戦略階層(CIRP 2009 / Dornfeld 2004 をもとに編集部作成)

この「予防→最小化→管理された除去」という階層は、本記事の「許容基準で管理する」という整理と同じ方向を向いています。バリをゼロにする努力に無限のコストを払うのではなく、出てもよい場所・大きさ・形に誘導し、決まった方法で処理する。海外の研究はこの発想を、ツールパス設計(ダウンミリングの活用、工具の抜け方の制御、バリを重要度の低いエッジに出す工程順序など)として具体化しています。

日本の現場で読み替えるポイント

海外資料・海外規格を参考にする際、日本の図面表現・発注慣習・社内基準に合わせて読み替えるときの観点を整理します。

  • 日本の図面では「カエリ」「バリ」が混在使用される場合があり、図面記載と現場用語の不一致に注意します。海外でも分類用語は研究者・企業ごとに揺れがあり(前述のとおり約45%の企業が独自分類を使用)、用語の定義合わせが先決という事情は共通です。
  • 海外調査のコスト数値(表3)は、自社の原価構成と直接比較する数値ではなく、「バリ取りコストを独立した管理対象として可視化する」という発想を持ち込むための参考値として使うのが現実的です。
  • 海外資料に出てくるバリ高さ許容値などの数値基準は、自社・取引先基準にそのまま適用せず、置き換え判断が必要です。
  • 出口角45度・薄肉部回避・ねじ部貫通回避などの設計指針は、日本では「設計と加工現場の対話」の中で暗黙に実践されてきた内容と重なります。海外の明文化された指針は、自社の設計レビュー基準やDFMチェックリストを文書化する際の項目出しとして活用できます。
  • 海外の deburring 専門書には機械的・熱的・電解・流動式など、工法分類が体系的にまとまっていますが、日本の中小製造業の現場ではブラシ・砥石・ハンドツールが主体で、海外で紹介される高度な工法は導入率に差があります。海外資料は「あり得る選択肢の整理」として読み、自社設備・予算・品質要求との適合性は別途検討する領域です。

海外情報を調べる英語キーワード

本記事の出典に加えて、英語圏の技術資料・規格・専門メディアを自分で調べる際の入口キーワードを整理します。

  • 概念・分類:burrburr formationburr classification
  • 工法:deburringmechanical deburringthermal deburringelectrochemical deburringabrasive flow machining
  • エッジ全般:edge finishingedge breakedge condition
  • 規格:ISO 13715(エッジ仕様の明示)
  • 設計視点:DFM burr preventiondesign for deburringburr control chart
  • 研究機関・レビュー:CIRP burrsCODEF deburring Berkeley

検索時は、材料名・加工方法・対象部位を組み合わせると、より具体的な海外資料にたどり着きやすくなります。例:aluminum burr formationcross hole deburringstainless steel burr removal

なお、海外資料が日本の現場よりも優れているという趣旨ではありません。日本にも JIS や業界別の慣行、現場で蓄積された経験知があり、海外情報は「視野を広げ、自社の暗黙知を明文化する手がかりを得る」ための参考として位置付けています。

本記事の前提と使い方の注意

本記事は、金属加工の後工程・仕上げ・品質管理に関する公開情報と、記事末尾「参考情報」に記載した海外の研究論文・技術資料を参照し、日本の製造現場で起こりやすい論点とあわせて実務で確認しやすい形に整理したものです。海外調査の数値は調査時点・対象産業・前提条件に依存する参考値であり、自社にそのまま適用できるものではありません。

実際の判断は、材質、形状、加工方法、要求精度、数量、検査基準、取引条件によって変わります。具体的な工程設計や品質保証の判断では、加工先、設備メーカー、品質管理部門などと確認しながら進めてください。本記事は、その確認の前段として論点を整理するためのものであり、特定の数値基準・工具・装置・メーカーの推奨は行いません。

このテーマでは、用語の理解だけで判断すると不十分です。実際には、図面指示、加工条件、検査基準、外注先との合意内容をあわせて確認する必要があります。社内会議や外注先打ち合わせで本記事を使う場合、「現場で確認すべき判断ポイント」の表に沿って、自社のどこに論点があるかを最初に切り分けることをおすすめします。

まとめ

バリは、金属加工の現場で日常的に発生する一方、製品の品質・組立・安全・コストに直結する重要な要素です。海外の産業調査では、バリ取り工程が製造コストの数%から十数%を占めると報告されており、品質管理の対象であると同時にコスト管理の対象でもあります。発生原因は多岐にわたり、対策は単一の手法ではなく、設計・加工条件・工具選定・工程設計・後工程・検査の組み合わせで検討するのが現実的です。国際的な研究の方向性も「バリの完全回避」ではなく「小さく再現性のある形への制御と、標準化された除去」に向かっており、これは部位ごとの許容基準で管理するという日本の現場の実務感覚とも整合します。

本サイトでは、特定の工具・装置・メーカーを推奨することなく、バリに関する一般的な考え方を、設計者・現場担当・若手技術者向けに継続的に整理していきます。バリ取り工程の具体的な手段、面取りとの違い、設計上のさらなる工夫については、関連記事もあわせて参照してください。

よくある質問

Q. バリと面取りはどう違いますか
A. バリは加工後に意図せず発生した不要な残留物で、面取りは設計上意図された形状です。両者は目的が異なる別の概念であり、現場で同じ工程内で同時に対応されることはあっても、品質管理上は分けて扱う方が安全です。詳細は関連記事「面取りとバリ取りの違い」を参照してください。
Q. バリは必ず除去しなければなりませんか
A. 製品の用途・要求品質・部位によって異なります。安全・機能・組立・外観に影響する場合は除去が必要ですが、影響が限定的な部位では除去基準を緩める運用もあります。海外の研究でも「バリをゼロにする」より「小さく再現性のある形に制御して管理する」方向が現実的とされています。最終判断は、設計・加工・品質側の合意のもとで行うのが一般的です。
Q. バリは設計段階で減らせますか
A. ある程度は可能です。加工順序、形状、面取り指示、角部の処理、薄肉部・交差穴の配置などを工夫することで、バリの発生量や除去難度を下げられる場合があります。これは英語圏ではDesign for Manufacturing(DFM)の一部として整理されており、工具の出口角度や工程順序に関する具体的な研究知見も公開されています。
Q. 4種類のバリは別々に発生しますか
A. 単独で発生することは少なく、複数が複合的に現れることが一般的です。たとえば穴加工では、入口側にポアソンバリ、出口側にロールオーバーバリが同時に発生するケースがあります。
Q. バリの許容基準はどのように決められていますか
A. 用途・業界・取引先によって異なります。国際的にはISO 13715が図面上でエッジ状態を指示する方法を定めており、日本でもJIS等の規格、社内基準、取引先要求にもとづいて部位ごとに設定されるのが一般的です。本サイトでは特定の数値基準は提示しません。実務上は、関係者間の合意と図面・仕様書での明示が前提となります。
Q. バリ取りはどこまで自動化できますか
A. 部品形状、生産数量、品質要求によって自動化のしやすさが異なります。手作業前提の部位、ロボット適用が現実的な部位、自動化困難な部位が混在することが一般的です。海外の研究では、バリを小さく再現性のある形に制御できれば標準化・自動化した除去につなげやすい、という整理がされています。詳細は「後工程の自動化・工程改善」カテゴリで扱います。

参考情報

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